成長のためにチャレンジしよう!

 私の5月はゴールデンウィークから始まり、高崎でのシタラフェア、大阪でのJP展と、あっという間に過ぎていってしまいました。新潟の5月は一年のうちで、一番気持ちのよい季節かもしれませんね。屋外でのマスクも2メートル以上離れていれば会話をしても必要なし、と厚生労働省からの通達も出ています。このよい季節のおいしい空気を、マスクなしで堪能しましょう。

 さて、印刷産業の出荷額のピークは1991年の8兆9286億円で、1999年までは9兆円を超えて成長していく気配もありましたが、21世紀に入ると減少が続き、2019年の出荷額は4兆9,981億円となりました。市場規模は56%に減少しました。

 木戸製本所は、2006年に2億4058万円のピークを打つと、2012年には1億4096万円まで、6年間で一気に58%に売上が減少しました。印刷産業の減少と似ています。印刷会社依存の会社の体質がこうした状況を作り出してしまいました。良き時代は、印刷会社様とお互い助け合いながら、一緒に成長できた時代だったのですが、印刷会社様も生き残るために必死で、2000年ころから全国的に製本内製化が進みます。

 新潟県でも、2005年11月にウィザップ様が芳野マシナリーの無線綴じラインを導入。2006年7月には昭栄印刷様がオサコ中綴じラインとホリゾン無線綴じラインを導入し製本工場を立ち上げ、8月には島津印刷様でハイデル社の中綴じラインが導入。さらに、9月に吉田印刷所様でホリゾン中綴じラインが2ライン導入され、12月には三都様(島津印刷様が買収)にミューラーの中綴じライン2ラインが導入されました。当社のお客様に無線綴じラインが2ライン、中綴じラインが6ラインも一気に内製化されてしまったのですから、木戸ショックと言えます。さらに2008年には世界を震撼させたリーマンショックが起こります。

 コストダウンで2011年までは、何とか黒字をキープしますが、2012年92万円の赤字に転落。記録に残っている1969年の102万円の黒字から、43年間黒字を続けてきましたが、ここで途切れてしまいました。すべては経営者である私の未来を見る力がなかったことが原因です。依存型から自立型のビジネスに変えられなかったことが、現在も苦しんでいる原因です。

 昭栄印刷様の仕事は、ゼロだったものが2000年頃には急激に増え、5年ほどで月に200万円ほどまでに増えていきました。月に200万円といえば、年間2400万円当社に発注することになります。10年で2億4000万円。プラス横持のトラック運搬費用が発生しますから、内製するのは当然のことです。しかし、当社にとっては大きな仕事の減少となりました。内製化は、予測していたことではありましたが、自立型の事業の立ち上げができないまま、製本の仕事が減少してしまいました。

 依存型の悲劇でこんなこともありました。2007年に雑誌を印刷する輪転印刷機が三都様で設備され、当社では折り工程が省かれることになりました(輪転機は印刷と同時に折り加工も毎時3万枚のスピードで行う)。輪転機ではアジロ折もできるので、製本指示はアジロ綴じ。当社の確認も足りなかったのですが、輪転のアジロの位置がずれていて、糊が奥まで入っていない本があり、本文が抜けるというトラブルが発生。当社は印刷会社様のアジロ製本という指示で製本しましたが、不良が発生したすべての責任は木戸製本所が悪いということで、1000万円の刷り直し費用をすべて負担することになりました。悔しくて悲しい出来事でした。

 自立しなければいけないのです。依存していては同じことを繰り返します。しかし自立したビジネスは簡単なことではないのです。人と違ったことをしなければ、また価格競争になります。そして、お客様の困っていることを敏感に察知し、その「困った」を解決する方法を仕組みとして提供していく必要があります。

 2013年に二か所に分かれていた工場を一か所に統合するために、現在の津島屋7-29に移転します。そして自立するために、デジタル印刷機hp5600を導入し、2014年にはフォトブックメーカーを導入しました。新しいサービスを開始する道具はそろいましたが、ビジネスを立ち上げて自立するところまではまだ届かないのが現状です。

 木戸製本所、ミューズ・コーポレーション、GiH、それぞれに課題がありますが、相乗効果を生み出すことができれば、新しい価値を生み出していくことは可能です。

 そのために、「本づくりを楽しむ」スピリッツをもって、本づくりを通じて人々の心と生活を豊かにするというミッションを持ち続けたいと思います。

 木戸新太郎が創業してから73年。様々なことが起き、今があります。そして、これから「本づくりを楽しむ」という新しい歴史を、皆さんとともにつくっていきたいと思っています。

6月のテーマ

成長のためにチャレンジしよう!

 「ちむどんどん」とは、沖縄のことばで、チム(肝=心臓・心)が高鳴る様子のこと。 前向きで肯定感に満ちた、わくわく感、という意味合い。 NHKの朝ドラ「ちむどんどん」の主人公暢子はまさに成長のためにチャレンジしています。人は、やらされているという意識ではチャレンジできない。自分で決めないとチャレンジはできない。  本年度もあと2ヶ月。今年が皆さんにとって成長を感じることができる1年であるように。そして、次年度も成長するための目標を明確にして、スタートしていきましょう。

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