結果がでるまでやり抜こう!

 平成のカリスマと言われる稲盛和夫さんが8月24日90歳で亡くなられた。2001年9月の日本経済新聞の連載記事「私の履歴書」は稲盛さんでした。当時、木戸製本所ではオンデマンド印刷を始めたばかりで、稲盛さんの30回分の記事を1冊の本にして印刷製本の見本にしたことを思い出します。1959年に京セラを創業し世界企業に育て、第二電電を設立して通信市場に参入。KDDなどとの合併を経て現在のKDDIを誕生させました。日本航空の会長を務め、再建に奔走したのが2010年でした。

  経営者は、従業員の生活、人生を預かり、社会的にも大きな責任を負っています。ですから、誤った判断をして失敗したら、大きな罪悪を犯すことになります。間違えないためには、自分の会社さえうまく行けばよいという私心を捨てて、人間として何が正しいかを拠り所にして判断すべきです。得てして、人の道から外れても、自社に好都合な選択をしがちですが、一時的にうまく行ったとしても、そんなことが長続きするはずがありません。(稲盛和夫氏の経営者ブログ2014年7月 14日より)

  少子化による人口減少と高齢化によって、国力の低下が懸念されています。経済力でみた世界における日本の地位は相対的に落ちて行くと予想されます。今までのように世界から注目される大きな強い国ではなくなるかもしれません。私はそれでもよいと思っています。日本は、きれいな心、美しい心を持つ人々が暮らす何と素晴らしい国なのかと、世界の人たちから認められる方が大切です。物質的な豊かさも大事ですが、尊敬を勝ち得るには徳義に富む気品のある国になることです。(稲盛和夫氏の経営者ブログ2014年8月11日より)

 先人に学び、損得ではなく、善悪で物事を考えられるように成長していきたいものです。

 さて、新年度になり1ヶ月が経ちました。本年度の計画を立てている最中ですが、実際に実務の仕事として「稼ぐ仕事」と、経営計画を立てたり、研修を受けたりという「お金は稼がないが重要な仕事」があります。やらなければいけない大切なことがある。しかし、日々の業務が忙しくて着手できない…このような問題を『樵のジレンマ』と呼びます。

 昔々、ある樵が、必死に木を切っているところに、旅人が通りがかりました。

 旅人は、その様子を眺めていましたが、斧を振るう勢いのわりに、なかなか木が切れていない。

 見ると樵の斧は長く手入れをしてないようで、刃がボロボロです。これでは切れるわけがありません。

 旅人は見かねて「そんな斧では仕事ができなかろう。斧を砥いだほうがいいのでは?」と、樵に助言をしました。

 すると樵は、答えました。

「そんなことは知ってるよ…でも、今日の仕事が一杯で、それどころじゃないんだ」

 私たちの仕事でも、普段の生活でも、同じようなことが起きています。では、実際のところ斧を砥ぐことの価値は、どれほどのものなのか?シンプルなゲームとしてモデル化して考えてみましょう。

生産性ゲーム

 ・初期の能力値は100。

 ・仕事を1日すると、能力値分の成果が得られる

 ・訓練を1日すると、能力値が+1増える

 ・1年間の成果をはかる

 「だったら1日働いて、100の成果を出すほうがよい」。直感的には、そういう風に見えます。では実際のところどうなのか、試してみましょう。

 プレイヤーが365日ガムシャラに仕事をした場合、1年間の成果は36,500になります。

成果の計算式

 成果 = (初期能力+1×訓練日数)×(トータル日数-訓練日数)

 ところが、ゲーム開始時にたった10日訓練するだけで、1年間の成果は39,050になります。

 1ヶ月訓練を受けて11ヶ月働いた場合の成果は、43,550です。

 さらに最初に6ヶ月訓練を受けて6ヵ月働いた場合には、なんと51,800の成果がでます。1年の半分しか働いていないのに!

 この例は、ゲームの設定なので現実とは異なるかもしれませんが、斧を砥ぐことの価値が少し理解してもらえたかと思います。

 私たちの仕事で斧を砥ぐとは、

 ・経営計画づくり、進捗ミーティング、朝礼、懇親会などのコミュニケーション。

 ・5Sタイムや日々の掃除やメンテナンス、委員会活動。

 ・新商品づくり、ホームページやSNS発信でのブランドづくり。

 もちろん製造業では働く時間を無駄にしないことは大切ですが、刃こぼれした斧で仕事をしていても、成果は作れないことを肝に銘じなければいけません。

9月のテーマ

結果がでるまでやり抜こう!

 結果を出すということは、結果を出せなくなる何らかの障害を越えていくことですね。つまり、結果を出すには、その障害を越える方法を考え実行する、ということになります。斧を砥ぐこととも似ていて、ただ作業をしているのではなく、考え抜き脳みそに汗をかくことが必要なのですね。

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